建売住宅ってなんとなく心配・・・という方へ。建売住宅についてつらつらと書いてみました。
「建売住宅ってなんか品質面で心配・・・」そう感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。安かろう悪かろう、そんなイメージからでしょうか。あるいは、テレビで見る欠陥住宅の特集などでそのようなイメージをお持ちなのかもしれませんね。今日は木造住宅の現場監督経験者である浅井がお伝えします 😎
まず、「なんとなく不安」と仰る方が、そう思う理由を考えてみると
・安かろう悪かろうのイメージを持っている
・TVなどによるイメージ
・大手ハウスメーカーのようなブランディング広告を打たないので相対的に悪く感じる
・大手ハウスメーカーほどの保証はないのでは??
・地震がきたとき大丈夫?
・木造住宅ってなんとなく不安
・「知り合いのお家が施工不良だった」などの実例を知っている
こんなところでしょうか??最後を除いて、ほとんどが明確な理由がなく「イメージ」を勝手に作り上げて判断している、というのが実際のところだと思います。私自身もお客様とお話をしていて明確な返答が返ってきたことがないので実感としてそう思います。とはいえ、一度ついたイメージはそう簡単に変わるものではないのでもう少し深掘りしていきましょう 😀
2家族に1家族は分譲住宅を選択している
国土交通省の住宅着工統計によると平成29年(1月~12月)の住宅着工棟数は約96戸とのことで、そのうち約55戸が木造住宅とのことです。割合でいうと、平成29年に建築された住宅のうち、約56%が木造住宅ということですね 😀
⇩データーをまとめるとこんな感じ⇩
構造 | 戸数 |
木造 | 545,366戸 (約56.5%) |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 5,155戸 (約0.5%) |
鉄筋コンクリート造 | 244,896戸 (約25.3%) |
鉄骨造 | 167,668戸 (約17.3%) |
コンクリートブロック造 | 682戸 (約0.07%) |
その他 | 874戸 (約0.09%) |
小計 | 964,641戸 |
(国土交通省より)
この数字は、持家や貸家、給与住宅、分譲住宅全てが含まれています。
ちなみに用語の定義として、
持家・・・・・建築主が自分で居住する目的で建築するもの。(平たく言えば注文住宅ということでしょうか)
貸家・・・・・建築主が賃貸する目的で建築するもの。(いわゆるアパートですね)
給与住宅・・・会社、官公署、学校等がその社員、職員、教員等を居住させる目的で建築するもの。 (社宅ですね)
分譲住宅・・・建て売り又は分譲の目的で建築するもの。
ということみたいです 😉
では、96万戸のうちマイホーム(持家+分譲住宅)の数はどれくらいなの?というと、
構造 | 持家 | 分譲住宅 | 計 |
木造 | 243,260戸 | 135,685戸 | 378,945戸 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 54戸 | 1,935戸 | 1,989戸 |
鉄筋コンクリート造 | 2,996戸 | 110,756戸 | 113,752戸 |
鉄骨造 | 36,984戸 | 6,756戸 | 43,740戸 |
コンクリートブロック造 | 552戸 | 18戸 | 570戸 |
その他 | 437戸 | 41戸 | 478戸 |
小計 | 284,283戸 | 255,191戸 | 539,474戸 |
(国土交通省より)
ということで、年間約96万戸の住宅が建築されていて、そのうち約54万戸がマイホームの用途として建築されており、マイホームとして分譲住宅を選択した方は約47%で、約2家族に1家族は分譲住宅を選択している、ということになりますね 😎
また、木造住宅の分譲住宅に関して言えば、日本全国で毎日371棟が建築されている計算になります 😎 多いですね 🙄
どうですか?思ったより分譲住宅を選択されている方が多いと思いませんか 😀 ?
安さの秘訣は徹底的な効率化と圧倒的な建築力
分譲住宅の安さの秘訣はたくさんあるのですが、大きく分けると徹底的な効率化と圧倒的な建築力にあります。一つずつ見ていきましょう 😀
徹底的な効率化とは
販売を外注する
住宅を建築するためには、土地の仕入れ→設計→見積もり→施工→販売 といった一連の業務フローがあるのですが、効率化を図るために自社での販売はしません。販売は不動産業者がします。その代わり、成約となった場合には一定の手数料を払うことにしています。(全ての分譲業者さんがそうではありません 😎 )
販売を自社で行う場合、週末のオープンハウスや販売活動をするための時間と人件費が発生します。建築途中で成約となればいいのかもしれませんが、なかなかそうはいきません。それであれば、販売を不動産業者に任せて成約となった場合に発生する仲介手数料を予め費用として見込んで建築計画を立てた方がいい、という判断で販売を外注する仕組みとなっています。
間取りを予め決めておく
分譲住宅は土地の広さも建物の延床面積もほとんど決まっています。エリアによっての土地の広さのばらつきはあるにしても、ほとんどの分譲住宅が4LDK(または3LDK)で100㎡前後の広さのものとなっています。それはなぜかというと間取りを予め決めているからです。間取りを決めておくメリットはいくつかあります 😎
間取りを決めておくメリットその①:設計業務の効率化
全ての分譲業者さんがそうではありませんが、予め間取りを100通り程度あるいはそれ以上の間取りを用意して土地形状に合わせて間取りを当てはめています。そうすることで図面を書くコストを圧縮でき、商品化までの時間と人件費を抑えることができ、土地の仕入れから販売・成約・引き渡しまでのスピードをあげることができ、次々と建築していくことが可能となっています。
(余談ですが、分譲業者さんは成約となったら1日でも早く現金化してキャッシュフローを高めていく必要があるので物件の購入申し込みをしたらその月にお引き渡しを受けることが一般的な流れになります 😯
たまにスピード感に驚かれる方もいらっしゃいますし、タイトスケジュールになりがちなのでストレスがかかりますが、気持ちのいいお引き渡しが受けられるようにお互い歩み寄ってお引き渡しまでのスケジュール調整をする必要があります 😉 )
間取りを決めておくメリットその②:施工品質の均一化
間取りを決めることによって建物の施工品質が均一化するという側面もあります。形が複雑でないのでマニュアル通りの施工ができますし、職人さんも今までに同様の間取りの施工をしたことがある場合もあるので施工の要領を得ています。また、形が複雑ではないので施工不良が起きにくいことも重要なポイントです 😎
間取りを決めておくメリットその③:工事金額が決まる
建物の大きさが決まることによって、外壁や大工工事、クロス工事等の業種の工事金額を決めることができます。注文住宅の場合だと間取りをもとに各業者さんから見積もりをもらうことが一般的ですが建売住宅の場合、大工工事はいくら、クロス工事はいくら、と1棟あたりの工事金額が予め決められているか、あるいは各工事の単価が決められており、それに広さをかけた金額が工事金額としているケースが多いので見積もりを取らなくても工事金額が決まってきます。そのため、見積もりをもらって値交渉をする手間が省け、業務の効率化を図ることができます。
自社のプレカット工場を持っている会社もある
会社によっては自社のプレカット工場を持っています。
プレカット工場とは、木造住宅の構造部分である柱や梁などの骨組みを加工する工場のことをいいます。工場で加工した木材をトラックに積んで建築現場まで運んで棟上げを行います。プレカット工場をもっている会社は大手建築会社、地場の工務店問わず、たくさんの建築会社からの依頼を受けてプレカットを行っています。
自社の建物のプレカットはもちろん、他社のプレカットも請け負っています。そのため、一定の品質の確保もできますし、相当数の数をプレカットすることになり、1棟あたりのコストも抑えられます。
圧倒的な建築力とは
圧倒的な数をこなすことによってコスト競争力を生み出しています。
⇩ざっくり言うとこんな感じ⇩
圧倒的な数を建築する
⇩
仕入れ単価、施工原価を下げることができる
⇩
販売価格を抑えることができる
こんな感じの仕組みとなっています。
仕入れ業者さん(商社)からはたくさんの数を仕入れることになるので単価を下げることができますし、施工業者さんに対しては施工現場を順次用意することによって施工単価をコントロールしています。
施工業者さんにとってとても大切なことが「次の施工現場が用意されているかどうか」です。次の現場がない場合は営業に行くか、仲間の同業者に仕事をもらわないといけなくなります。また、あいだが空いてしまう場合、その間は無給となりますのであいだを空けずに現場が用意できるかどうかがとても大切になってきます。そのため、単価が多少安くても仕事が途切れることなくもらえる、ということはとても大切なことなんです 😀
そのため、建物を圧倒的な数をこなすことによって、原価を下げることができ、業者さんを集めることができ、また業者さんとしても継続して仕事が受注できるので助かるといったWin-Winの関係ができています。また、圧倒的な数を建築することによって、不動産業者さんからの土地情報ももらいやすくなるので仕入れから販売までのサイクルを回しやすくなります 😉
自社の責任施工
分譲住宅を建築している業者さんの多くは自社の社員の現場監督に現場を管理させ、施工品質の確保に努めています。場合によっては、品質をチェックする専門の部署によって要所要所で施工品質の検査態勢ができています。つまり、施工を下請け業者に丸投げをするのではなく、自社の責任において施工をしています。そのため、一定の施工品質が担保されます。
法整備もちゃんとされている
分譲住宅に限った話ではありませんが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(通称:品確法)(平成12年4月1日施工)や、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(通称:住宅瑕疵担保履行法)(平成20年4月1日施工、資力確保の義務付けについては平成21年10月1日施工)というものがあり、新築住宅に関しては10年間の保証をしなければいけません。そのため「売っておしまい」ということはできません。販売をしたら10年間は保証しないといけないような法整備がされています。(分かりやすく、保証と言いましたが正確には瑕疵担保責任を負う、と言います 😀 )
⇩保証の内容はこちら⇩
(一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会HPより)
木造住宅に関して言えば、基礎や土台、柱、梁などの「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」に関しての10年間の瑕疵担保責任を負わないといけません。平たく言えば10年間は施工した責任を持ちましょうね、ということです 😆
購入した会社が倒産してしまった場合でも保証が受けられる
「住宅を購入した事業者が購入後、倒産してしまったら保証が受けられないんじゃなの??」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。大丈夫です。そのあたりも整備されています 😎 事業者は10年間の瑕疵担保責任を負う義務を課されるワケですが、その義務を果たすために「保険に入る」もしくは「まとまったお金を預ける(供託)」義務も同時に課されます。簡単にまとめるとこんな感じです⇩
住宅を建てて販売する場合、「10年間の瑕疵担保責任を負って下さいよ。また、不測の事態に備えて予め保険の加入をするか、まとまったお金を供託して下さいね」ということです 😎
もし倒産してしまった場合でも保険の場合は免責10万円を引いた分が最大2000万円が支払われ、供託の場合は法務局に供託したお金から還付を供託所に請求することができるようになっています 😎
これらは不動産のプロではない買主を守るために売主に義務づけているので、中古住宅のような売主が個人の場合はありません。
また、瑕疵担保責任はハウスメーカーや大手ビルダー、地場の工務店問わず、全ての新築住宅を建築している全ての事業者に課せられています 😀
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」や「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」で買う方が守られている訳ですね 😀 また、床や天井などの木下地部分や、クロスや建具などの内装仕上げ部分、設備機器などのそれ以外については2年間の瑕疵担保責任があります。
⇩まとめるとこんな感じ⇩
・建築会社の規模を問わず、建物の2年間の保証+構造部分や雨水が入ってくる恐れのある部分は10年間の保証
・不測の事態に備えて建築会社は保険に加入か、供託金を納める必要あり
・不測の事態が起こった場合でも買主は保護される仕組みができている
いかがですか 😀 分譲住宅の仕組みを知れば知るほど安心感を感じて頂けるのではないでしょうか 😀
とはいえ、「知り合いの家が施工不良だった」と思われる方がいらっしゃるかもしれません 😯 数十年前はそのようなことがまがり通っていたかもしれませんが、今は品確法や瑕疵担保履行法によって買主にとって有利な法整備がせれています。また、瑕疵担保履行法が施行されてからまだ10年程度しか経っていません。仮に施工不良の家を知っている方も瑕疵担保履行法が施行される前の住宅である可能性も十分に考えられます 😀 そして、これだけ買主保護のための法整備がされていてSNSが発達した時代に意図的に手抜き工事をすることって現実的に考えにくいのではないでしょうか 😉
住宅は工業製品ではないので1つとして同じものがないので仕上がりの面でのばらつきは多少あるかもしれません。でも、法整備や企業努力によって安心して住むことができる住宅であることはご理解頂けたかと思います 😉 また、分譲住宅の場合は完成した内部を目視で確認してから購入できることも安心材料の一つだと思います 😎
まだまだお伝えしきれていませんが長くなってきたので一旦ここまで 😀 皆様の住宅検討のお役に立てれば幸いです 😀